OSAKA SEIKEI TOPICS
2024.06.17
お知らせ
クラブ活動,卓球部
1秒にも満たない間にボールが台上を行き交う。そのラリーのスピード感が熱狂を生み世界中で人気を博す卓球。今年の4月に入学した東川羽菜さんは、2024年4月・5月に開催された「第66回関西学生卓球新人大会」に出場し、女子シングルスで優勝、女子団体戦では準優勝を果たす。大阪成蹊大学として「関西学生卓球新人大会」の優勝は初。個人としても入学後初のタイトル獲得となった。「優勝するとは自分でも思っていなくてびっくり。応援してくれた皆さんの期待に応えられて良かったです」。少し照れながらそう話す、彼女の強さの秘密に迫った。
ラケットを振る姉の姿に惹かれて、始まった卓球人生
広島県尾道市に生まれ、父・母・姉、いずれも卓球経験者という卓球一家で育った東川さん。2つ年上の姉がラケットを振る姿を目の当たりにし、興味を惹かれたのが小学1年生のころ。そこから彼女の卓球人生は始まった。「基礎練習などはあまり好きではなかったです。でも試合形式の練習はめっちゃ好きでした」と幼少期を振り返る。卓球を始めると、2013年「全日本卓球選手権大会」の小学2年生以下が出場する「バンビの部」で3位、2016年「全国ホープス選抜卓球大会」広島県代表として団体3位など、華々しい戦績を残し、中学校は岡山県にある卓球強豪校に進学。そんな彼女の卓球人生におけるターニングポイントの一つは、高校時代に訪れる。
監督のもとで暮らし、卓球に打ち込む高校時代
▲高校時代の東川選手
高校は卓球部監督に誘われ、急速に力を伸ばしていた栃木県にある宇都宮文星女子高校へと進学。監督の自宅兼寮に部員数名と共に暮らし、卓球漬けの毎日を送る。「寮にも卓球台があり、昼夜問わずに練習に励んでいましたね」。さらに高校1年生の冬には、監督からキャプテンへの指名が。それが大きな転機となった。「それまでは自分の意志・考えが一番。でも、キャプテンとしてチームを引っ張っていくためには、チームメイトの意思や考えも汲み取っていかないといけない。自分だけでなく、周りのことも考えていく必要があると思いました」。
意識とプレースタイルの変化がもたらした、インターハイでの勝利
意識の変化は、プレースタイルにも影響をもたらした。東川さんは元々、早いタイミングで打ち返し自分のペースに巻き込みながら相手を崩していくタイプ。キャプテンになってからは、その場その場で相手に合わせた戦術を盛り込んでいくようになった。「対戦相手がガツガツと前から攻めようとしているのか、ラリーを続けて粘ろうとしているのか、相手のことを考えながら臨機応変に対応を考えるようになりました。それは、普段の練習から自分のことだけでなく周りのことも考えるようになった影響が大きいと思います」と意識とプレースタイルの変化について話す。
彼女が今までで最も印象的な試合と話すのが、高校2年生のインターハイ、ベスト16を賭けた試合だ。相手はこれまで何度も対戦してきたが一度も勝てなかった中学校時代の先輩。「競ることはあってもなかなか勝ち切れないということが続いていました。その試合では、粘り続けながら相手の攻めに上手く対応ができて、なんとか勝ち切ることができました」。プレースタイルの変化がもたらした大きな一勝。その年のインターハイでは、11位入賞を果たした。
皆川監督に心動かされ決めた大阪成蹊大学への進学
高校時代には、インターハイ入賞の他、「全日本卓球選手権ジュニアの部栃木県予選」優勝、「関東大会」シングルス3位、団体3位など数々の戦績を残した彼女であったが、実は高校で卓球を辞めようと考えていたそう。それを止めたのは、大阪成蹊大学で女子卓球部監督を務める皆川監督だった。「皆川監督は、姉の中学生時代の監督で元々知り合いでした。高校卒業後はどうしようかと悩んでいたときに、大阪成蹊大学に誘っていただいて、『羽菜の意志を尊重するし、絶対味方でいる』って言ってくれたんです」。そんな選手に寄り添う姿に心を動かされて、卓球を続けること、そして大阪成蹊大学への進学を決めたのだった。
期待以上の成果となった大学入学後初の大会での優勝
大阪成蹊大学女子卓球部は「みんながのびのびと楽しくやっている」という印象だったという。高校1年生の冬にキャプテンに指名されてから、ずっとチームを引っ張っていく立場であった東川さん。プレッシャーやストレスもあったのだろう。それらから解放された状況は心地が良いようだ。「先輩から話しかけてもらったり、部活動後にご飯に誘ってもらったり、『後輩』っていうのを久しぶりに感じていますね」とハニカミながら話す。
大学入学後、初の大会である「第66回関西学生卓球新人大会」。そこにはプレッシャーもあったという。「出場する他校の選手たちが強く、ベスト4入りも厳しいと思っていました」。
しかし、周りからの期待、そして優勝すれば次の大会でのシード権も手に入るという状況。不安が募っていく。その不安を乗り越えられたのは、高校時代に身に付けた「対応力」によるところが大きくあった。
女子シングルスの大会当日は、体育館の中に湿気がこもった状態だったそう。ラケットを使いボールに繊細な回転を伝える卓球では、湿気があるとラケットが滑ったりと回転がかけにくく、プレーに大きな影響がある。湿気の影響による苦労については、トップ選手も度々口にするほど。大会出場者の多くも普段とは違う環境にやりにくさを感じる中、東川さんも例外ではなかった。
しかし、その状況や相手のプレースタイルを常に考えながら、なんとか対応していき勝ち進む。
迎えた4回戦。フルゲームにもつれた試合を制すと「湿気にも対応できるようになり、波に乗れました」と話すように勢いは加速。見事優勝を果たした。 続く女子団体戦でも準優勝。
これからの卓球部での目標を聞くと、「これまでは今年卒業した皆川優香さんが引っ張って、チームに勢いをもたらしてくれていました。その勢いをそのまま保っていきたいです」と教えてくれた。
のびのびと楽しく。部活動も大学生活も充実
卓球部で輝きを放つ東川さんは、大学生活でも充実しているという。「大阪は、小学生のころから遊びに来ていた馴染みのある場所。都会って感じでいろんなところへよく遊びに行っています」と、部活動が休みの日には友人と買い物などをして楽しんでいるそう。また、一人暮らしをしている友人宅に集まり、ごはんを一緒に作ったり、ゆったりと過ごすこともあるんだとか。「そんな風に友人たちと過ごすのは楽しくて大好きな時間です」と笑顔で話してくれた。 のびのびと楽しく過ごし、花が咲いたような明るい笑顔を見せる彼女を、これからも応援したい。
▲友人宅でごはん