2023年7月23日に開催された情報検索の理論に関する国際会議、The 13th International Conference on the Theory of Information Retrieval (ICTIR 2023) [1] において、データサイエンス学部 杉山一成 教授と京都大学 博士後期課程 和山 弘 氏との共同研究、
“The Effectiveness of Quantum Random Walk Model in Recommender Systems” (「推薦システムにおける量子ランダムウォークモデルの効果」)[2] の論文発表を行いました。
本研究では、ECサイトなどにおいて、ユーザが商品に対して興味・関心を持ったという情報と、物理学から発展した量子ウォークという考えを掛け合わせることで、ECサイトを利用する各ユーザに対して、興味・関心を持ち、かつ、多様性のある商品を提示する新しい推薦システムを提案しています。
例えば、ECサイトにおいて、ユーザXが商品Aと商品Bを購入した、ユーザYが商品Cと商品Dを購入したということが、ユーザが商品に対して興味・関心を持ったという情報になります。この情報と量子ウォークを利用することにより、ユーザXには観測されていない、商品Cや商品Dに対して、どれぐらい興味・関心を持っているか定量的に計算することが可能です。
この計算結果と有名な機械学習モデルであるニューラルネットワークを利用することにより、ユーザXには多様性のある商品Dと商品Eを、ユーザYに対しても多様性ある商品Aと商品Fを推薦します。
本研究により、ユーザと商品の潜在的な関係を定量化し、各ユーザに対して、興味・関心があり、かつ、多様性のある商品をランキング形式で提示する推薦システムを構築することが可能になります。
大阪成蹊大学データサイエンス学部では、大阪のデータサイエンス研究・教育拠点として、
今後も国内外に研究成果を発信してまいります。
[1] The 13th International Conference on the Theory of Information Retrieval (ICTIR 2023)
https://sigir.org/ictir2023/
[2] Hiroshi Wayama and Kazunari Sugiyama: "The Effectiveness of Quantum Random Walk Model in Recommender Systems," The 13th International Conference on the Theory of Information Retrieval (ICTIR 2023), pages 225-234, 2023. (open access)
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3578337.3605141