
PROFILE
- データサイエンス学部 3年生
- 吉村 佑紀 さん
吉村 佑紀(よしむら ゆうき)さん
大阪府出身。学校法人 大阪明星学園 明星高等学校卒業
進路に迷っていた高校3年生の頃、先生に勧められて参加したオープンキャンパスでデータサイエンスの可能性を実感して大阪成蹊大学へ。大学での学びやインターンでの経験を活かし、2025年7月にWeb制作やDXコンサルティングなどを手掛ける「WhiTech: (ホワイテック)」を学生起業。学びと事業を両立する日々。
大阪成蹊大学は、学ぼうとする意欲を持つ学生に対して積極的にバックアップをおこなっており、学生が自らの可能性を広げられるよう多彩な学びの場や挑戦の場を提供し”やる気があればどんどんチャレンジできる“環境を整えています。
そんな環境をフル活用した学生が、このたび学生起業を実現。テック系スタートアップ企業を立ち上げたばかりのデータサイエンス学部3年生の吉村佑紀さんにお話を伺いました。
●大阪成蹊大学を知ったきっかけを教えてください
私はもともとパソコンを触るのが好きで、動画や画像の編集が趣味でした。将来はIT系の企業で働きたいという思いもあり、中学生の頃から自分で簡単なゲーム制作や、YouTube動画を参考にしてPythonで簡単なプログラムを組んだりしていました。
高校生になり進路を考える中で、ITやデジタル制作を専門的に学べる学部や学校があることを知り進学を意識するようになったのですが、志望校が決まらず迷っていました。そんなある日、担任の先生から大阪成蹊大学を紹介されたことがきっかけでした。
●なぜ大阪成蹊大学のデータサイエンス学部に進学を決めたのですか?
京都大学や有名国公立大学出身の教授陣が集まっていることを知り、「レベルの高い学びが得られる」と感じて入学を検討しました。
最終的な決め手となったのは、学部の提携先に大手企業がある点です。サイバネットシステムなどIT業界を牽引する企業と授業を通じて関われることは、私にとってとても大きな魅力でした。
●学生のうちに起業しようと考えたきっかけを教えてください
起業家であった祖父や家族の影響もあり、以前から何となく将来は起業するものだと思っていたのですが、このタイミングで起業を決意したのは、日本のデジタル化の課題を目の当たりにし、それを解決したいと強く思ったからです。
PBL(課題解決型)授業で企業を訪問させていただく中でも、多くの現場でITの活用やDXが進んでいないことを実感しました。データ基盤が整っていなかったり、せっかくのデータが活用されていなかったりする状況を目にする中で課題意識を持つようになりました。
大きな転機となったのは大学1年生の夏。データサイエンス学部の吉川教授の紹介で参加した大手商社グループのコンサルティング会社での長期インターンに参加したことです。ここで得た実践経験や、学部で学んだ専門知識を生かし、日本の企業や社会に貢献したいと考えるようになったのです。
そして、「大学生」という時間的に自由な今だからこそ、この思いを形にするために起業を選び、2025年7月にWhiTech:(ホワイテック)を立ち上げました。
【WhiTech:(ホワイテック)WEBサイト】https://whitech.jp/
●インターン先ではどのような業務に関わっていますか?
インターンは2025年8月で2年目になりました。最初は簡単な作業から始まりましたが、スキルアップするにつれて分析業務やデータ整理、ダッシュボード(分析データを視覚的に表現し、リアルタイムで確認し利活用しやすくするツール)の作成なども任されるようになりました。直近ではメインで案件を担当させてもらう機会もあり、社員の方とほぼ同様に携わることができていると感じてます。
振り返ってみると、仲間と事業に取り組んだり会社を立ち上げたりする中で、授業で学んだことが大いに役立っていると感じます。直接的に使える知識もあれば、手法や考え方を応用して業務に活かせることもあり、さまざまな場面で学びがつながっている実感があります。
▲インターンを始めた頃の1年次の吉村さん(右)。中央は吉川教授、左はCOOとして共に活躍する道前さん。
●起業メンバーとは、どのように集まったのですか?
メンバーには信頼できる友人を集めました。仲が良いという理由だけでなく、それぞれが分野に強みを持ち、能動的に動ける人材です。授業や日常での言動から「この人なら一緒にやっていける」と感じた人に声をかけました。会社立ち上げ時は、何よりも信頼が大切だと考えています。どれだけ能力があっても、信頼や絆がなければ続かないからです。
メンバーはみんな同学年なのですが、大学1年生の頃から、授業やゼミを通じて仲間とのつながりができていきました。
朝澤くんとは同じアドバイザーである小山田教授の教室に所属していたことがきっかけで親しくなり、そこから輪が広がっていきました。道前くんは授業のグループワークで一緒になったことが始まりで、彼とはインターン先も一緒です。高松くんとは共通の趣味であるゲームを一緒に楽しむうちに自然と仲良くなり、成田くんもまた別のつながりから加わって、少しずつ仲間の輪が広がっていきました。
▲創業メンバー 写真左より
高松 颯さん、朝澤 颯さん、吉村 佑紀さん、道前 良人さん、成田 樹輝さん(全員3年生在学中)
大阪成蹊大学のデータサイエンス学部は、学年関係なく仲が良いのが特徴で、男女問わず気軽に交流できる雰囲気があります。男子学生の比率が高い学部ですが、女子学生も含めてグループワークを通じて関わる機会が多く、仲間をつくりやすい環境があると思います。
●吉村さんが代表になったきっかけは何だったのでしょうか?
私が仲間を最初に誘った発起人だったという点もありますが、全員で話し合って代表に選んでもらいました。メンバーからは「全体を推進する力がある」「常に未来を創造してくれる」といった言葉をもらっています。
学部のプロジェクト演習には、個人で取り組むものもあれば、グループで進めるものもあります。その中で「自分が中心となって動くのか」「メンバーとして支えるのか」といった役割を場面ごとに担う経験を積んできました。授業で得た知識だけでなく、こうした経験がビジネスの場面でも生きる力につながっていると感じています。
<<WhiTech: COO / CTO道前 良人さん コメント>>
『吉村くんは「やってみよう」と最初に声を上げるタイプで、周りを引っ張るリーダーシップがあります。高い志を持っていて、彼の存在がチームを前向きにしていると思います。』
▲写真左:道前さん 写真右:吉村さん
●WhiTech:(ホワイテック)の活動内容や事業について教えてください
私たちが進めている事業は大きく2つあります。
1つ目はWebページ制作事業です。
DX推進を目指す中で、まずは小さく始められる事業として取り組んだのがWebページ制作でした。学生にとって資金調達は難しい課題でしたが、「スモールスタート」で始めたいという思いから、この事業を選びました。現在は営業活動を進めながら受注も始まっており、企画から設計、制作、公開後の運用まで一貫してサポートしています。
2つ目はデータ創造コンサル事業です。
多くの企業は「データが存在しない」「活用できていない」「分析の先に進めていない」など、段階ごとに課題を抱えています。そこで私たちは「未来を創りあげる」という意味を込めて「データ創造コンサルティング」と名付けました。一般的な改善型コンサルではなく、データの可能性を広げ、新しい価値を生み出すことを重視しています。
先行して事業展開を進めているWeb制作で培った実績やインターンでの経験を基盤に、大学で学んでいるデータサイエンスの力を融合させ、DXに踏み出せていない企業を支援していきます。
また、DXを推進するうえでAIの存在も無視できません。ここ数年でAI技術は急速に発展し一部の仕事は減るかもしれませんが、AIを正しく活用する技術や人材の重要性はますます高まると感じています。今後は、AIを使いこなせる人材が必要不可欠になるはずです。そんな今こそ、大学での学びや自らの知識を活かしたビジネスチャンスであると捉えています。
●仕事と学業との両立はどのようにされていますか?
まず、授業がある日は「出席」を最優先し、空き時間には業務やミーティングに対応しています。特に意識しているのは、授業を特定の曜日にまとめることで、丸一日を仕事に充てられる日を設けること。これにより、学業に集中しつつ、仕事でもまとまった時間を確保しています。
大学へは、1限がある日は授業開始までに、それ以外の日もだいたい午前9時から10時には登校します。到着後は、まず4階のラーニングコモンズへ。ここでその日の予定を整理し、Slackやメールの確認から仕事をスタートします。
お昼は8階の食堂や、学内で一番のお気に入りの場所でもある1階のテラスで、友人や事業メンバーと過ごすことが多いです。ここでは、学業や日常の話題はもちろん、IT業界の最新ニュースについて語り合うことも。こうしたカジュアルな会話から、新しいビジネスアイデアが生まれることも少なくありません。
▲駅前キャンパスのテラス席で
午後は、インターン先や事業メンバーとのミーティングが入ることが多いため、授業の合間を縫って柔軟に対応しています。授業が終わった後も、遅い日は20時頃まで大学に残り、その日の授業の復習や残っている作業を進めます。大学の充実した施設を最大限に活用し、学業と事業、双方に全力で取り組んでいます。
●かなり忙しく過ごされていますが、休みは取れていますか?
スケジュールを調整して、休みもしっかり取るよう心がけています。
普段、仕事やインターンでリモートワーク中心の生活になっているため、休日は積極的に外出するようにしています。友人と洋服を見に行ったり食事をしたりするほか、一人で映画館に行ったり、新しいカフェを訪れて読書を楽しんだりすることもあります。
特に文庫本が好きで、本屋で購入した本を持ってカフェでゆっくり過ごす時間は、至福のひとときです。映画鑑賞も大きな楽しみのひとつで、3時間くらいの映画を1日で2〜3本見ることも(笑)。たっぷりと映画の世界に浸ることでリフレッシュしています。
こうしたオフの過ごし方は、単なる気分転換にとどまらず、新しい視点やアイデアを得るための大切なインプットの機会にもなっています。
▲友人と訪れたディズニーランドで(本人提供)
▲駅前キャンパス近くで。メンバーとは普段から仲が良い。(本人提供)
●企業として、そして個人としての将来の目標を教えてください
企業としては、特定の企業との競争にとらわれず、自分たちの強みや文化を活かしながら、社会に新しい価値観を提示し、この業界で確かな存在感を築いていきたいと考えています。
WebとAIとデータの力を用いた伴走支援を通じて事業の持続的成長を後押しするとともに、日本経済全体のDX推進に貢献していくことが目標です。
私個人としては、事業を通じて社会に大きな価値を生み出せる“実業家”として成長していくことを目標にしています。多数の事業を手掛け周囲から慕われていた祖父のように、たくさんの人と関わり、助け、社会に貢献する人間になりたいです。
今はスタートアップとして動き始めたばかりですが、このまま小さく収まるつもりはありません。将来は必ず大きくなります。
●さいごに、高校生へのメッセージをお願いします
進路を考える時期は「この選択で本当にいいのだろうか」「自分に向いている道はどこだろうか」と不安に思うことも多いでしょう。私自身も高校時代は将来像が明確ではなく、迷いながら歩んでいました。しかし大学での学びや経験、そして仲間との出会いがきっかけで、今は自ら会社を立ち上げる挑戦をしています。大切なのは、最初から完璧な答えを出すことではなく、少しでも「やってみたい」と思えることに一歩踏み出すことです。
そして、その一歩を大きな力に変えてくれるのが「仲間の存在」です。ひとりでは実現できないことも、同じ志を持つ仲間となら形にできます。部活動や行事、日常の中で一緒に頑張れる人との出会いは、将来にとって何よりの財産になります。私も、信頼できる仲間と共に試行錯誤を重ねたからこそ、起業という大きな挑戦につながりました。
進路選びに「唯一の正解」はありません。どの道を選んでも、その先にある経験や人とのつながりが、皆さんの未来を豊かにしてくれます。失敗を恐れず、小さな挑戦と出会いを大切にしてください。その積み重ねが、必ず皆さんだけのキャリアと人生を築く力になると信じています。
<大阪成蹊大学 データサイエンス学部 特設サイトはこちら>
https://univ.osaka-seikei.jp/department/data_science/
<大阪成蹊大学 データサイエンス学部 入試情報はこちら>
http://osaka-seikei-nyushi.jp/nyushi-university/
<大阪成蹊大学 データサイエンス学部 オープンキャンパス情報はこちら>
http://osaka-seikei-nyushi.jp/nyushi-university/event/opencampus.html