PROFILE
- 大阪成蹊大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 2年生
- 吉岡 大宙さん
吉岡大宙(よしおか そら)さん
現在の在籍学部:大阪成蹊大学データサイエンス学部データサイエンス学科 2年生
出身高校:京都府立洛西高等学校
データサイエンス学部1期生として本学に入学。学部での学びに加え、学会での研究発表や有志で実施する自主ゼミへの参加など、研究活動も充実。休みの日は学会発表の準備をしたり、飲食店のアルバイト、大学のオープンキャンパスのアルバイトにも参加している。
2023年に新設したデータサイエンス学部の1期生、吉岡大宙さん。1年生の時から釜山大学校との合同ワークショップへ参加し、直近では沖縄で開催された学会のシンポジウムで発表したりと、学部の学びを越えた研究活動にも精力的に挑戦している。データサイエンスの学びや研究活動について、今の考えを聞いた。
高校時代の先生の助言がきっかけで、データサイエンスの道へ
僕が高校生の頃、データサイエンス学部はまだあまりありませんでした。そんな中、進学したい学部がまだ決まっていなかったので学校の先生に相談したところ、「数学が得意ならデータサイエンス学部はどうか?」と紹介してもらったことがデータサイエンスを知ったきっかけです。高校時代はパソコンを深く使うこともなかったのですが、すぐに「面白そうだな」と思いました。
親と一緒に色々な大学のホームページを見て、どんなことが学べるのかを重視して、この大学を選びました。
大阪成蹊大学で「データサイエンス」を学ぶ魅力
実際に沢山のデータを扱えること、プログラミングをしっかり学べることに魅力を感じています。プログラムをちゃんと学ぶと、いざデータを見るときにも役に立つし、データをまとめ上げるという機能を付け足すときの基盤にもなる。高校とは学ぶ内容が全然違うなと感じています。
一方で、データを見るときには一貫性があるかを確認するのですが、その時には方程式などの数学が役立ちます。プログラミングは大学に入って一から学びましたが、データサイエンスの考え方に必要な方程式などの数学の知識は、高校時代に学んだ内容が生かされています。
1期生なので、実は入学前は不安もありました。ですが、実際に入学してからは沢山の実践的な経験ができ、多くのことを学べていて、満足しています。2年生になったら、企業や自治体の方から課題をいただいて、挑戦する授業が増えました。課題解決にあたり、企業から分析用システムやアプリケーションを提供してもらい、グループで何千とおりのパターンをシミュレーションして、その結果を発表する授業もあります。
企業連携の授業は、実際に直面している現代社会の課題を知れるので、非常に実践的でためになると感じています。
▲少人数の学部なので、教員との距離が近いことも魅力。研究を指導する小山田耕二学科長・教授と。
1年次に出会った「空間データの取得と点群データ観測」の研究、そして学会発表
今は3Dスキャナーを使った空間データの取得の研究に取り組んでいます。これはハンドヘルド型という、手にもってどこでもデータを取れるもの。1メートルくらい離れた位置から、スキャナーの上の方にある赤外線カメラをとおして、物体に赤外線を投射し、反射して返ってきた時間を計測して距離を測っています。3次元の空間モデルを作れるので、パソコンで専用アプリにつなぎ、3次元の空間をあらわす点群データを作成する。カラーカメラを搭載しているので、色も付けられます。
学会発表は、どんな資料を作り、何を見せればいいのかを考えるのが難しい。僕は、自分が取り組んでいる研究がどういう風に社会で使われていくのかを示唆して、将来を想像する観点がとても大事だと考えています。それを見極めて、発表するテーマを選定し、まずは先行研究を調べて、テーマに沿って自分なりの研究を進めていく。資料のリテイクを繰り返しながら、準備に取り組んでいます。色々な企業の方や先生方が来るので、学会発表は毎回緊張します。
▲ハンドヘルド3Dスキャナーで空間データを取得
▲取得したデータは3次元の点群データで表示される
英語で挑戦した韓国・釜山大学校での合同ワークショップ
釜山大学校とのワークショップでは、実際に現地に訪問し、英語で研究発表しました。外国なので日本語は通じない。実際、自分たちが取り組んでいる研究の資料は英語で書かれていることも多いので、大学に入ってから英語は馴染み深くなりましたが、とはいえ、高校時代、英語はとても苦手でした。文法を見直すことから始めて、夏頃から英語を本格的に勉強しようと思い、本学のグローバル館で実施されている外国人教員との英語レッスンに挑戦しました。いまでは、英語への苦手意識は大分なくなりました。勉強の仕方を教えてもらい、それに意識的に取り組めば、苦手はなくなると実感しました。
▲1年次に挑戦した初めての研究発表
沖縄での学会発表をとおして感じた手ごたえ
2泊3日で沖縄に行きました。1泊目は事前準備と少し観光もして、2日目は小山田先生が主催するシンポジウムに参加して、他大学の学生がどんな発表をしているかを勉強しました。3日目に自分たちの発表がありました。
僕は、「点群データを活用したメッシュデータ化とその活用」について、学会で発表しました。空間を表す点群データを作成して、そのデータからメッシュデータという、より軽いデータを作る。その際に生じる矛盾点を整理し、間違っている点、重複する点を削除してデータを軽くします。また、1回のデータ取得では、足りない部分があったり、穴抜けがあったり、データが均等になっていない等の課題もあります。
学会では、社会で実用化されるにあたり、それがどういう風に使われていくのかを考えたり、この作業工程においてどんな課題があるかをまとめて発表しました。
当日は大勢の前だったので大変緊張しました。でも自分の中では、しっかりと準備をして、参加者の目をみて話せたのでよかったし、質問に対しても受け答えができた。自分としては、いい発表になったと思っています。
▲学会発表に参加したメンバーとともに
▲「第53回 可視化情報シンポジウム」での発表の様子
1年半で感じる自身の成長と、将来の展望
大学に入り、人前で話すことが格段に増えました。高校時代は相手に伝えたいことがあっても、ことばを知らなかったり、人前で話す機会も乏しかったので、伝える努力をしてこなかった。相手に伝わりにくい説明をして、うまく意図が伝わらないという苦い思い出も多くありますが、大学に入ってからは、人前で話すことが増え、おのずと「伝える努力」をするようになりました。ことば遣いや話し方などを意識するようになり、自分の成長を実感しています。
自分の研究はまだまだ発展途上です。まだ2年生で学びが浅い状態なので、データに関する知識をもっと深く学びたい。また、今の研究課題をどうやったら解決できるのかも学びたいです。
3年次後半から始まる卒業研究は、今の研究テーマをもっと発展させて取り組みたいと考えています。
卒業後は大学院に進学して研究の道に進むというより、企業への就職を考えています。ビジネス系ならお店の商品の配置が売り上げにどう影響を与えるかを考えたり、プログラミングを使って開発に挑戦したり。今の研究のような、センサー付きの装置でデータを取得したりする際にもデータサイエンスは活用されています。僕は、まずは社会のルールを学んだり、もっと実践的なデータの活用を学んだり、開発にも挑戦して、視野を広げていきたいです。