PROFILE
- データサイエンス学部 1年生
- 尾宗寺 涼太さん
大阪府生まれ。N高等学校卒業。
考えごとをするときには歩くことが多く、自宅の部屋の中を歩き回ることも。空いた時間には、つくりたいものについて思いを巡らせている。「考えることがリフレッシュにもなっています」。
身の回りのデータを読み解き、暮らしや社会の課題解決に活かすデータサイエンス。データサイエンス学部1年の尾宗寺涼太さんは、小学生のころにプログラミングと出合い、「やってみたら面白そう」という好奇心から、アプリ開発などに取り組んできた。大学では、先生や仲間と関わりながら、その好奇心をものづくりから研究へと活動を広げている。これまでの歩みと、大学で見つけた面白さについて、お話を聞いた。
遊ぶ楽しさに、つくる楽しさが加わった
尾宗寺さんがプログラミングに触れたのは、小学生のころ。親に連れて行ってもらった場所で、「Scratch(スクラッチ)」という、画面上のブロックを組み合わせてゲームなどをつくるプログラミングツールを知ったことがきっかけだった。
初めにつくったものとして覚えているのは、壁に当たらないように操作して進むゲームだという。
「こんなことをやったら面白いんじゃないかと思って、つくっていました。自分のやりたいことを詰め込んだようなものでしたね」。
その後も、ゲームを改造して遊んだり、さまざまなプログラミング言語に触れたり。YouTubeやSNSなどで情報を探しながら、自分で試していった。高校時代も、好奇心の向くままにさまざまなことに取り組んでいたという。
「気になったものも、とりあえず試しながら過ごしていました」。
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この翻訳、使いづらい。なら、つくってみよう
これまでにつくったものの一つが、英語のWebサイトを読む際の翻訳機能を改善する、ブラウザーの拡張機能だ。既存の翻訳では使いづらいと感じ、自分で何とかできないかと開発を始めた。
生成AIも活用しながら、少しずつ処理を組み立てていった。公開したものには利用者からの評価も寄せられており、今も改良を続けている。
使いづらいものを便利にすることも、開発のきっかけになる。ただ、尾宗寺さんが原動力として挙げるのは、「好奇心」という言葉だ。
「これをやってみたら面白いかな、こういう仕組みを組めばできるな、と考えています。構想を、目に見える形に落とし込むのが楽しいのかもしれません」。
日々の生活で感じた手間や、SNSで見かけた情報。尾宗寺さんは、そうした身近なことから、つくってみたいものや実現する方法を考えている。
「完成までの道筋を思いついた瞬間に、取り組むタイプですね」。
だから空いた時間には、何かしら考えているという。日頃から方法を考え、道筋が見えたところで手を動かす。実際につくる時間よりも、考えている時間の方が多いのだそうだ。
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頭の中の可能性に、試せる場所を
進学先を探す際に注目したのは、データサイエンスや情報系の学部だった。大阪成蹊大学を選んだ大きな理由は、データサイエンス学部の充実した設備。特にGPUサーバーは、AIの学習など、多くの計算を必要とする処理に活用できる設備だ。
「設備が充実していれば、できる研究の幅も広がると思いました。実際に今使わせてもらっています」。
自分がやってみたいことを試せる環境に、魅力を感じた。
入学後の授業では、身近にあるものを言葉や理論で捉え直す面白さも感じている。例えば、統計学で学んだ用語や考え方は、生成AIに指示を出すときにも役立っているという。
「知識や用語を知っていると、欲しい情報を引き出しやすくなるんです」。
データを分かりやすく表現するための学びも、その一つだ。情報をただ並べるのではなく、どんな形で見せれば伝わるのか。普段目にしている表現を言葉にして理解することが、アプリを考える際にも活きている。
「身の回りにあるものを、再確認できるような授業があって楽しいです」。
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先生に見せたアプリが、その場で授業に採用
大学では、授業そのものが開発のきっかけになることもあった。
プログラミングの授業で、尾宗寺さんは、分からないところがありそうでも手を挙げていない学生がいることに気づいた。一方で、質問が集中すると、先生が全員の状況を把握するのも難しくなる。
「手を挙げることに抵抗がある人もいると思いますし、多すぎると管理が難しくなります。それを管理するアプリをつくりました」。
学生が画面上のボタンを押すと、先生に対応を求めていることが伝わる仕組みだ。質問したいという意思を、画面を通して示すことができる。
つくったアプリを先生に紹介し、利用を提案すると、その場で受け入れてもらい、授業で使うことになったという。
「持っていったら、『いいね』とすぐに採用していただけました」。
自分が見つけた課題に対する工夫を、同じ授業を受ける学生や先生に使ってもらう。先生が提案を受け止めてくれたことで、その機会が生まれた。
「大阪成蹊大学は先生との距離が近く、話しやすいです。お話しする中で刺激を受けることもあります」。
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自分の発想に、誰かの視点が加わる
大学では、オープンキャンパスに向けたアプリ開発にも取り組んでいる。今年披露したのは、AIのアバターと会話ができるアプリだ。画面上のキャラクターとやり取りすることができる。
開発する中では、自分以外の人の意見を聞けることにも面白さを感じているという。
「一人で黙々と何かをするのも良いですが、仲間がいるとフィードバックをもらえます。それが楽しいですね」。
大学に通い始めてからは、周囲の人の考えに触れる機会も増えた。
「他の人から考え方を聞くだけでも、こんなふうに考える人がいるんだと分かって面白いです」。
一人で考え、つくる時間に加えて、人の意見から刺激を受ける時間も、大学でのものづくりの楽しみになっている。
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つくるための問いが、研究の扉を開いた
オープンキャンパスに向けた開発を通して、さらに良くしたいと感じたのが、画像を合成する部分だった。もっときれいに合成するためには、どうすれば良いのか。実現する方法を考える中で、太陽の方向を推定する研究へとつながっていったという。
取り組んでいるのは、画像から太陽の方向を推定する研究だ。GPS情報と撮影時刻から求めた太陽の方向を、画像に正解の情報として付け、AIに学習させる。
光が差す方向が分かれば、画像を合成する際の影の表現などにも活かしやすくなる。もともとは、つくりたいもののために考えていた方法だったが、先生との話を通して、研究として取り組むことになった。
自分で思いついたことを形にするだけでなく、その過程で生まれた疑問を研究として深める。尾宗寺さんは今、その面白さも感じているという。
小学生のころ、やりたいことを詰め込んでつくったゲーム。大学では、授業で使われるアプリや、AIアバターの開発、研究へと取り組みが広がっている。その出発点には、変わらず「やってみたら面白いかもしれない」という気持ちがある。
先生や友人たちから刺激を受けながら、次はどんな発想を形にしていくのか。尾宗寺さんのこれからを応援したい。
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大学、そして高校生の後輩たちへ
最後に、尾宗寺さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。
「自分が今置かれている状況を、客観的に考えてみてほしいです。勉強をしているのか、していないのか。それが良い悪いという話ではなく、なぜそうしているのか。面倒だからなのか、他にやりたいことがあるのか、勉強が楽しいからなのか。そうした理由を掘り下げていくと、自分のやりたいことに気づくきっかけになるのではと思います。また、進学先を考えるきっかけにもなるかもしれません。頑張ってください」。
※在学生の表記は2026年10月取材時のものです。