PROFILE
- データサイエンス学部 2年生
- 中澤 伊吹さん
大阪府生まれ。大阪高等学校卒業。
学校祭実行委員やボランティア、煎茶道サークルの活動に加え、コーヒー店でのアルバイトや合気道、煎茶道の稽古にも励む。一方で、忙しい中でも「煎茶道を通して、自分と向き合う時間も大切にしています」ということも教えてくれた。
急須などを用いて煎茶や玉露などの茶葉からお茶を淹れる「煎茶道」。日本の伝統文化・茶道の一つである。京都の宇治にある、黄檗山萬福寺の茶礼から発展した茶道「黄檗売茶流」の家元の長男である中澤伊吹さんは、現在データサイエンス学部の2年生。大阪成蹊大学への進学を考えた理由や、煎茶道との向き合い方について、お話をお聞きした。
大きな転機となった高校2年生
「幼いころは周りから、おとなしくて優しい子とよく言われていました」と落ち着いた様子で話す中澤さん。幼少期から、黄檗売茶流の家元である父に連れられて煎茶道の場にいることも多かったという。その場の穏やかな空気に自然と馴染んでいった。本格的に稽古に取り組み始めたのは高校2年生のころ。茶器の扱い方にはじまり、丁寧な所作など、その道への学びを深めていった。
大阪成蹊大学について知ったのも、高校2年生のころだったという。小学校からの友人と進路の話をしていたときに、友人から大阪成蹊大学の名前が挙がったのだ。
「調べてみると、やりたいことが全部できる大学だと思いました。だから進学を決めました」。

データサイエンスの学びを自分の可能性に
中澤さんが興味を持っていたのは、情報の分野。 特にデータサイエンス・AIは幅広い分野に応用でき、自身の将来と煎茶道の可能性も広げられるのではないかと考えたそう。実際に入学してからの約1年の間に、統計学やプログラミング、情報デザインなど、情報の分野を幅広く学ぶことができているという。特に現在面白いと思っている授業が、企業等連携PBL。
「企業などと連携しながら、その企業が抱えている課題を、データをもとに分析しながらどのように解決するのか、また、なぜこの課題が生まれているのか、グループで話し合いながら協力して取り組んでいます」。
企業から提示されたデータのどこに着目し、どのように分析して課題解決へつなげるのか。その過程に面白さを感じているという。
「企業と連携した授業をはじめとして、大阪成蹊大学のデータサイエンス学部は、在学中から社会で活かせる実践的なビジネスのスキルが学べることが、大きな魅力だと感じています」。

データサイエンスの学びと、教員への可能性
もう一つ、進学の大きな決め手となったのが、情報の教員免許を取得できることであった。
「家業を継ぐことになったときに、“伝える”ことは大切な力だと思いました。教職課程で得られる知識・経験は、その力を伸ばすことができ、また将来の可能性を広げることにつながると考えたのです」。
データサイエンスを学びながら教職課程を履修できる大学はそう多くはない。
煎茶道の可能性、自身の選択肢を広げることを考えたときに、大阪成蹊大学データサイエンス学部で、さまざまな実践的な経験・知識が得られることが、進学の大きな決め手となった。

挑戦できる環境だからできた、サークルの創設
中澤さんは授業でさまざまなことを学びながら、サークル活動にも力を入れている。そのサークルの一つが煎茶道サークルだ。大学で煎茶道をもっと身近に感じてもらいたいという想いから、今年自ら創設。煎茶の淹れ方やお手前を学ぶだけでなく、その人らしく、お茶と過ごす時間を大切にできる、そんな空間をつくりたいと活動を開始した。
「“やりたい”と思ったことに挑戦できるのが、大阪成蹊大学の良いところだと思います」と中澤さん。
“あれをやりたい”“これにも挑戦したい”。そう思ったときに、関連する募集や説明会などの情報に触れられる環境があるという。
「何事にもトライできるおかげで、いろいろな経験を積むことができました。事前の段取りや実行力が身につき、人との対話を通して、伝えることの難しさや大切さを学ぶこともできました」。


向き合うことで見えてくる自分とお茶とデータ
大学に通う一方で、週に一度、煎茶道の稽古にも励む中澤さん。
「稽古では、お手前を覚えることも大事なのですが、一杯のお茶にどれだけ心を注ぎ込めるのか、丁寧に向き合えるのかというのを常に意識し、精進しております」。
約2時間の稽古の中で、その日によって異なる体調や心持ちを見つめながら、一杯のお茶と向き合い、いかにしておいしく淹れるのかを追求する、というのが重要なことなのだという。
「週に一度、お茶に向き合うこの時間は、とても心がリラックスするんです」。
大学の授業をはじめ、アルバイトやその他の習い事など、忙しい日々を送る中澤さんにとって、他のことを何も考えずに、ただ一杯のお茶に心を注ぐ稽古の時間は、大切なものなのだそう。
「大学に入り、一段と忙しくなってきましたが、その分、煎茶道に向き合う時間、心安らぐ時間をより大切に思うようになりました」。
自然と多くの情報に触れる現代だからこそ、スマートフォンから離れ、15分間だけでもお茶に向き合い、頭と心を休めてほしいと中澤さんは話す。こうした想いの背景には、伝統を守るとは、形を変えずにただ受け継ぐことではないという考えがある。
「その時代や人々の暮らしに合わせて変化させながら、次の世代へつなぐことが大切だと思っています」。
また、一見共通点のなさそうな煎茶道とデータサイエンスにも、通じる部分があるという。
「“向き合う”ということは、どちらにも通じるところだと思います。一つのデータに対しても、意味がないものと切り捨てるのではなく、データの意味は何かと向き合い考える。煎茶道においても、お茶やその日の自分と、丁寧に向き合うことが大切です」。



“伝える”ことを軸に、将来の道へ
将来について聞くと、卒業後は一般企業に勤めたいと中澤さんは話す。
「多くの人が企業に就職し、社会人としての経験を積むと思います。煎茶の道に進み教える立場になったとき、その経験をしていない自分が教えることが何か失礼なことのように感じました。また、煎茶道を抜きにしたときに、一人の大人としてしっかりと自立していたい、という想いもあります」。
そのため、まず3年ほど広告代理店などの企業で経験を積み、その後そのまま勤めるのか、教員となるのか、家業を継ぐのか考えたいという。
「いずれにしても、人に伝える立場でありたいと考えています。志望している企業においても、教員においても、煎茶道においても、人とコミュニケーションを取りながら、考えていることの意図を汲み取り、伝える。そのことを大切にして、将来の道を歩んでいきたいと思っています」。
データや人々、煎茶道など、さまざまな物事に向き合いながら、多くの経験を積み重ねる中澤さん。その学びが、受け継がれてきた煎茶道に新たな息吹をもたらしていくことに期待したい。

大学、そして高校生の後輩たちへ
最後に中澤さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。
「興味を持ったことにはどんどん挑戦してほしいと思います。挑戦することは大きな経験になるはずです。失敗したとしても、その原因を分析することで、次への大きな糧になるはずです。大阪成蹊大学には、その挑戦ができる環境が整っています。何にでも挑戦できる環境で、何事もしないというのは少しもったいない。失敗しても自分にとってプラスになると考え、挑戦を続けていってください」。

※在学生の表記は2026年7月取材時のものです。