PROFILE
- 第12回 佳作(入選)、第9回 佳作(入選)
- 伊藤 花蓮 さん
伊藤 花蓮(いとう かれん)さん
現在の在籍学部:大阪成蹊大学 芸術学部 イラストレーション・美術コース4年生
受賞名:第12回(2022年度)大阪成蹊全国アート&デザインコンペティション 佳作(入選)
受賞作品名:アガペーの歪み
受賞時の在籍校:大阪成蹊女子高等学校3年生
受賞名:第9回(2019年度)大阪成蹊全国アート&デザインコンペティション 佳作(入選)
受賞作品名:シャ・ノワールの幸せなお茶会
受賞時の在籍校:川西市立清和台中学校3年生
高校3年生および中学3年生の時に佳作(入選)を獲得し、現在は本学芸術学部 イラストレーション・美術コース4年に在籍中の伊藤 花蓮さんにお話しを伺いました。

▲第13回(2022年度)佳作(入選)作品『アガペーの歪み』
■ 受賞作品の世界観、タイトル名の背景・理由、作品にかけた思いなどをお聞かせください。
作品タイトルにある「アガペー」というのは、キリスト教でいう「神による無条件の愛」「与える愛」のことを言います。当時、私はこのアガペーという言葉に興味を持ち、いろいろと調べていました。美術作品のタイトルに「アガペー」「無償の愛」などとついていると、人間にとって美しいもの・美徳のようなイメージになりますが、私は少し穿った見方をしていました。「現代のこの社会において心からこの精神を持っている人は、実は心のどこかが歪んでしまっているのではないだろうか」と。
一見すると純心・無邪気に見える人物の顔。でもそれは実は取り繕った仮面で、無邪気な心の象徴ともいえるガラスのおはじきを通して見てみると、その仮面が剝がれて見える。そんなコンセプトでこのデジタル作品を制作しました。
■ 受賞した時の気持ち・制作にあたってのポイントを教えてください。
この作品は学校の課題の延長線のような形で、一か月ほどの制作期間で完成させました。デジタルを始めたての頃だったので、作品の終わり方をどう決めればよいのか分からず悩んでいました。
入選した時は、シンプルに驚きました。もっと丁寧にやればよかったなとか後悔の残る作品にはなりましたが、おかげで作品への向き合い方といったものを学ぶ良い機会になりました。

■ 現在、大学ではどのような作品制作に取り組んでいますか。
デジタルからは完全に手を引いて、今はアナログで作品制作を行っています。半立体のパネル作品が主で、作品が展示された時に鑑賞者に与える視覚効果を研究しつつ、試行錯誤しています。
高校生の時と比べて、作風は180度変わりました。高校までは、人物や漫画など、サブカルアートを主体としてやっていました。大学に入ってコースの学びを深めていくうちに、美術の世界がぐっと広がり、興味のあることが増えてきました。美術の長い歴史に触れ、様々な美術の技法・手法に触れ、自分が感じたことを自分自身で打ち出せるように日々努力しています。
また、学外で作品発表することにもチャレンジしています。
2年生の時には、友人と池田市の駅近くのギャラリーを借りて、「2人展 すぽっとらいと-初明-」を開催しました。今年の9月頃にも友人数名と「Collective Exhibition -兆-」を開催する予定で準備を進めています。

▲「2人展 すぽっとらいと-初明-」の様子
3年生の時には「UNKNOWN ASIA 2025」に出展する機会をいただき、2つのレビュアー賞(中居 大輔 賞、義平 稔 賞)を獲得することができました。この時に出展したのは、「CHOICE」というタイトルで制作した6つのミクスト・メディア作品(※)。それぞれの作品ごとに、あるワード(たとえば「SHOCK」)をテーマにデザインしています。作品のそれぞれのワードから受けるイメージは、時として人生において障害になりうるようなネガティブものだったりしますが、そんなイメージとは反対に、明るいカラーリングでポップに仕上げることで、言葉のイメージ通りの解釈はしていないということを作品に表現しています。
私たちの人生においては、様々なことが身に降りかかってきますが、それらをどのように解釈するか、どう感じるかはその人次第だと考えています。一見苦しいもののように見えても、実は見方次第ではそれはチャンスなのかもしれません。他人にどう言われようとも、どう見られようとも、それをどう感じるのか・どうするのかは自分で選択する必要があるのです。この作品の鑑賞者には、自身に起こる事柄をどのように解釈するか、そんないわば「選択の余地」を楽しんでほしいという気持ちで制作しました。
(※)ミクスト・メディア:現代美術において、性質や種類の異なる複数の媒体や素材を用いて制作された作品のこと。

▲「UNKNOWN ASIA 2025」でレビュアー賞を受賞した作品『CHOICE』
■ 現在の制作環境について教えてください。
大学には様々な設備やサポートが備わっています。木工室がある「造形ファクトリー」は様々な機械がそろっていて、多様な学生のニーズに応えてくれますし、手厚いサポートを受けることができます。実は造形ファクトリーの学生アルバイトスタッフとして2年生の時から働いています。当時、将来の就職先として舞台芸術の仕事に就きたいと考えており、先生に相談したところ、「学生アルバイトスタッフとして造形ファクトリーで経験を積むと良い」とアドバイスされたのがきっかけです。ここでアルバイトをしながら、希望する大阪市内の劇場のインターンシップにも参加し、そのインターンシップ先から無事に内々定をいただくことができました。

▲学内の造形ファクトリーにて学生スタッフとして活躍中
■ アート&デザインコンペティションに挑戦する高校生・中学生へのメッセージをお願いします。
今、自分の興味のあることや楽しいと思えるものを制作することが何より大切だと思います。現代は様々な情報が手に入りやすい時代になっています。その情報の中には、自分にとって良いものもあれば悪いものもあり、作品を制作する時には良くも悪くもそういった情報の影響を受けることも少なくないのではないでしょうか。しかし、そうした情報に左右されず、自分自身の思いをブレずに表現してほしいです。私は学生スタッフとしていろいろな人の展示物に触れることがありますが、評価されているどの作品からも、その制作者の想いのようなものが強く伝わってきます。コンテストという場は、世間一般でいうところの「画力」だけが評価されているのではなく、その制作者の作品にかける想いが試されている・評価されているのだと感じます。まずは楽しく、作品作りに取り組んでみてください。その気持ちは、あなたの作品を通して誰かに伝わるはずです。

■「大阪成蹊全国アート&デザインコンペティション」特設ページは こちら

※在学生の表記は2026年8月時のものです。