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人とのつながりを心に、
大阪府の教員採用試験「小中いきいき連携」へ合格

2025.12.17

PROFILE

教育学部 教育学科 中等教育専攻 保健体育教育コース 4年生
平木 颯 さん

平木 颯さん
兵庫県生まれ。兵庫県立川西明峰高等学校卒業。
小学校4年生から高校3年生まではサッカー部、大学2年生から、アルティメット部に所属。教員採用試験の合格発表は美容室で髪を切っているときに確認しました。「面接前に格好良くしてくださった美容師さんにも伝えたくて、その時間に美容室を予約して一緒に合格発表を見ました(笑)」。

大阪府の教員採用試験「小中いきいき連携」に合格した、教育学部中等教育専攻保健体育教育コースの平木颯さん。合格発表を確認するときは、スマホを持つ手が震えていたという。「合格したと分かったときは、両手を上げて喜ぶほどうれしかったですね」。これから教員としてスタートを切る平木さんに、教員を志した理由や大学で学んだこと、理想の教員像についてお話をお聞きした。




“つながり”や“関係性”を大切にする大阪府教員をめざして

「小中いきいき連携」とは、小学校と中学校どちらでも勤務できる教員を採用・育成するというもの。小・中と子どもたちの成長を切れ目なく支援することを目的としている。「どちらの年代の子どもにも教えたいと思っていたので、この採用枠で試験を受けました」と平木さん。そこには、試験を受けるための大きな苦労があった。受験のためには、小学校と中学校のどちらの教員免許も必要になる。中学校の教員は国語・数学・保健体育などのように教科ごとに分かれるが、小学校の教員はそれらの主要教科いずれの知識・指導も求められる。「大学3年生になっても毎日のように大学に通っていました。模擬授業も中学校の保健体育、小学校の国語・算数・理科・社会と何時間も行っていました」。
では、なぜそれほどの苦労をして大阪府の教員へ?
「大阪府の求める教員像に『信頼関係』という言葉がありました。『子どもが好き』『教職への情熱がある』という一方的な感情だけではなく、子どもはもちろん、保護者や地域の人との“つながり”“関係性”を大切にして、一緒に学校を作り上げていこうとしていることに惹かれました」。


現場で知った、関係づくりの難しさと面白さ

平木さんが教員を志したのは、高校2年生のときのこと。進路調査が行われ、将来について考えたときに、運動が好き、人に教えるのも好きということもあり、保健体育の教員に興味を持ち始めた。
保健体育の教員免許が取得できる大学を探していたときに目に留まったのが大阪成蹊大学だった。「多くの場合、大学3・4年生の教育実習ではじめて現場を経験するんですが、大阪成蹊大学の教育学部では1年生から教育の現場に行き、学ぶことができる。その点に大きく惹かれました」と平木さん。早くから現場に出ることで、講義だけでは学べない経験を得られると考えたのだそう。
入学直後は、コロナ禍だったこともあり、2年生の4月にはじめて現場に出ることができた。しかし、感じたのは子どもたちと関係を築くことの難しさであった。「1クラスには30人程度いたのですが、話し掛けに来てくれる子もいれば、近寄ってこない子もいます。だからといって、一部の子だけと会話していても、他の子たちと距離があるようになってしまう。どんな会話をきっかけに、みんなとどう関係をつくっていくか、はじめは苦労しました」。子どもたちとの関係は、授業を行う際にも大きく影響してくる。関係ができていると、子どもは積極的に発表してくれて、より授業が盛り上がる。だからこそ積極的に話し掛け、「部活何しているの?」「好きなアニメある?」、という小さな話題から話を広げ、少しずつ関係をつくっていった。
「はじめは、授業中、子どもたちの多くは黙り込んでしまっていました。最終日になるにつれてよく発表するようになりましたし、対話も生まれました」。早くから現場を経験したことで、多くの学びを得た。また、自身の教員像が明確になり、教員採用試験でも語れる経験となったそうだ。



一人ひとりに向き合う経験が、教員としての軸に

実習以外でも、学内外問わずさまざまなところから学びを得ている。
所属する臼井達矢准教授のゼミでは、子どもと関わる活動も多いという。「小学生を対象にしたスポーツ教室や高校を訪れてのリズムトレーニング、ストレッチ・テーピングの指導など、生徒たちとたくさんの交流がありました」。
さらに、大阪市内の中学校のサッカー部を指導したり、試合への引率をしたりする部活動指導員も行なっていた。
「やはり同じ子どもというのは絶対にいないので、その子に合った関わり方・接し方が重要だと感じました。ゼミ活動やボランティア活動を通して分かったからこそ、実際に教員になったときには子どもたちとしっかりコミュニケーションをとって、その子がどういう子なのか理解した上で関わっていきたいと思っています」。


高校生を招いてのスポーツ医科学連携イベントでの平木さん


仲間たちと過ごした部活動での『青春』

平木さんの大学生活を語る上で欠かすことのできないのが、アルティメット部での活動だ。入部のきっかけは、2年生の夏、同級生の試合の応援に訪れたことだった。「アルティメットは、フライングディスクをパスしながら端のエンドゾーンまで運ぶスポーツです。フィールドでプレーするのは7人なのですが、ベンチという概念がなくて。プレーしていない選手たちもサイドライン上を動き、声をだして応援をするんです。点を取った瞬間は、みんなで駆け寄って笑い合って。『青春』っていう雰囲気に惹かれて入部を決めました」。
2年生、3年生のときは、試合に出られない時間も多く、チームとしても全国大会に出場できずに悔しい想いをしていた。4年生となった今年は、個人の出場時間も増え、全国大会の「全日本大学アルティメット選手権大会」にも出場。チームは強豪の早稲田大学を破り見事優勝し、大学日本一をつかんだ。「4年間の集大成の大会でしたし、優勝した瞬間は、これまでのことが報われたという想いで涙が溢れました」と、そのときの喜びを語ってくれた。




4年生最後の第36回全日本大学アルティメット選手権大会で優勝、大学日本一に(平木さんは番号23)

教職キャリアセンターにも支えられ、勉強にも全力で

教員採用試験合格に向けて、部活動との両立は大変ではなかったのか聞くと、部活動が良いリフレッシュの時間になったという。
「部活動のある日は必ず参加していました。部活動が好き、というのもあったのですが、勉強の息抜きになってもいたのだと思います」。部活動以外の日はしっかりと勉強する。メリハリをつけながら、勉強にも全力で取り組んだ。「学内の教職キャリアセンターが開講している、教員採用試験対策講座には必ず出席し、筆記試験対策に取り組みました。また、面接試験についても教職キャリアセンターの先生方の手厚いサポートのおかげで、簡潔に受け応えできるように対策ができました」と教員採用試験についてサポートを受けながら取り組んでいった。




“つながり”や“関係性”を大切にする教員へ

4年間で多くの人と関係を築き、支えられながら見事大阪府の教員採用試験に合格を果たした。「大阪成蹊大学は、1年生から現場での実習があるため、知識だけでなく、子どもとの関わり方、学校の一日の進み方などを体験でき、卒業後に良い教員人生をスタートできるカリキュラムが組まれています」と多くの学びがあったことを教えてくれた。
平木さんには、教員を志したときに頭に浮かんだ先生がいた。中学1年生のときの担任の先生だ。「何事にも全力で取り組む方でした。行事にも子どもたちより一生懸命で、体育祭では全身チームカラーの服を着て応援していたり。言葉だけでなく、行動で示してくれる先生というのが印象に残っています」。
続けて理想の教員像について聞くと、「出会った子どもたちに『先生みたいになりたい』と思ってもらいたいです。教員を目指してくれたらもちろんうれしいですけど、先生みたいに何事にも頑張る人になりたい、と言ってくれる子がたくさん出てきてくれたら良いなって思います」。そう思うのは、中学1年生のときの担任の先生の影響もあるのかもしれない。
現時点で、小学校、中学校どちらに配属されるかは決まっていない。不安は大きいかと思うが、人との“つながり”や“関係性”を大切にする姿勢は、多くの人に支えられ、また平木さん自身も多くの人を支えることになるだろう。これから教員としてたくさんの子どもたちとの関係を紡いでいくことに期待していきたい。



大学、そして高校生の後輩たちへ
最後に、平木さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。


「大学生はとても短い期間なので、まずは全力で楽しん欲しいと思います。学校の課題や就職活動など、大変なことがたくさんあると思いますが、自分がやりたいことをやって楽しめるときに楽しんでください。また、大学でできた友達は一生ものだと思うので、友達と過ごすことも大事だと思います。後悔のない大学生活を過ごしてください。また、教員になりたい高校生がいたら、ぜひ大阪成蹊大学の教育学部に入学しください。先生方は手厚いサポートをしてくださり、人としても成長できる学部です。また、チーム一丸となって教員採用試験に取り組むのが大阪成蹊大学の教育学部の特徴だと思います。友人や先生との関係は卒業してからも大切なものになると思います。ぜひ大阪成蹊大学に入学して教員を目指してください」。



保健体育教育コースの仲間と一緒に



※在学生の表記は2025年12月取材時のものです。