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環境の変化を成長に変え、「大阪市教師養成講座」に合格。教員への道を突き進む

2025.09.01

PROFILE

教育学部 教育学科 中等教育専攻 英語教育コース 3年生
佐藤 ひより さん

佐藤日和さん
北海道生まれ。北海道釧路江南高等学校卒業。
吹奏楽部では、フルートとピッコロを担当。活動は基本的に週2回。最近はコンクールへの出場も視野に入れて活動している。「部活動見学に行ったら雰囲気がとても良くて。特に同学年のメンバーが温かく迎えてくれて、その人たちが好きで続けています」。


2020年度より小学校英語が教科化されたことにともない、中学校での英語教育がより高度なものとなった。中学生に教える英語教員に求められることもさらに高度なものとなる。英語の教員を目指す、教育学部教育学科中等教育専攻英語教育コース3年の佐藤日和さんに、どのように英語力・教育力を高めているのか、学生生活の様子とともにお聞きした。

「誰かの役に立ちたい」。その想いから教員へ、そして大阪へ

「先生たちからは、おとなしい子だと思われていたと思います。頭の中でいろいろと考えていたんですけど、言葉にするのが苦手で」。そう話す佐藤さんは、中学・高校生のころは吹奏楽部に所属し、部活動に勤しんでいた。当時の佐藤さんが目指していたのは、医療系の仕事。理系として勉学に励んでいた。進路を変えたのは3年のときのこと。「数学・理科といった理系科目が苦手で、思い切って目指す方向を変えてみました」。『誰かの役に立ちたい』。その軸をもとに辿り着いたのが、教員という道だった。教育系の学部を探していたときに、大阪成蹊大学が目に留まった。「関西に親戚がいたことも理由ですが、少人数制で一人ひとりに丁寧な指導をしてくれるという点に惹かれました。また、中学校の英語教員を第一に考えていましたが、小学校の教員免許も同時に取得できることも決め手の一つでした」。
佐藤さんが通うのは、北海道釧路市の高校。周りの友人の多くは札幌や釧路で進学する。では、なぜ思い切って大阪に?「このままでは居心地の良い北海道内でずっと過ごしてしまうのではないか」。今しかない。そう思い、大学進学をきっかけに道外へ出ることを決断した。


環境の変化を自身のさらなる成長に

大阪へ進学を決めた佐藤さん。親戚がいるとはいえ、友人は誰一人としていない環境。やはり不安は大きかったという。しかし実際に大阪に来てみると、周りの人は温かく、明るく、とても親切だったそう。「初めて会う私にも優しくて、同じ学部の人たちや、入部した吹奏楽部の仲間たちのおかげで、この環境にも馴染むことができました」と佐藤さん。実は、大阪に移り住む前に楽しみにしていたことがある。「生まれ育った町から、少し都会の釧路の高校へ入学することも自分の中では大きなことでした。そこでも自分は成長できたと思っています。大阪成蹊大学への進学でまたさらに大きな成長ができるのではないかと期待していました」。実際、周りの人柄に影響を受けたことで人間性も成長できたようで、自分の性格も何だか前向きになれた気がすると話してくれた。

2025年5月に大阪成蹊大学のキャンパスで開催された日米合同演奏会の様子 前列右端が佐藤さん

カリキュラム・留学を通して、英語力に磨きをかける

入学後、英語教員を目指し、日々勉強に励む佐藤さん。「今頑張っているのは、英語の指導法の授業です。指導案を作成して、それをもとに模擬授業を行うのですが、自分が考えていた以上に難しいものでした。教授が言っていることは理解できても、自分の授業に置き換えたり、実践してみたりすると思ったよりもできず、苦戦しています」。その中でも、生徒たちがただ読む・話すだけでなく、その目的が自然と伝わるような設計をしたり、中学生に理解できる英語を話したりすることを心掛けている。
また、中学生への授業内では全て英語で話すことが求められる。そのため、英語力は必須だ。佐藤さんが英語を学び始めたのは、小学校4年生のとき。教会の英語教室に通い出したのが始まり。それから中学校3年生まで通い高校・大学へ進学。大学に入ってからは、カリキュラムを通して英語力に磨きをかけている。1、2年時には、毎日2コマ程度の英語の授業とTOEIC対策に力を入れて取り組んだ。「英語の学習支援をしてくれる『グローバルセンター』も活用していました。そこでは外国の先生から20分間の英語のレッスンを受けられるんです。2年生の留学する前には、空きコマにできるだけ受けられるように予約していました」と、意欲的に学習に取り組んでいる。
留学はオーストラリアへの4カ月間、単位を取得できる大学のプログラムとして参加した。「他の大学だと、長期休み中の数週間や1カ月のところが多いように思います。もっと英語を話せるようになりたいと考えていたので、留学することを決めました」。留学のプログラムでは、ホームステイしながら、初めの6週間はシドニーの語学学校での勉強。そのあとは自由に場所を選択できるようになっていた。佐藤さんは、メルボルンへ行くことに。「そこでは現地の中高一貫校で日本語教師のアシスタントを経験しました。英語の勉強と同時に、生徒へ指導する機会があったことは、とても自分の身になったと思います」と、晴れやかな表情で有意義な体験であったことを語ってくれた。



オーストラリア留学の際の佐藤さん

大学生活での頑張りが合格の鍵

留学後も教員を目指し、さまざまなことに取り組んだ。その一つが「大阪市教師養成講座」だ。授業づくりや子どもへの理解を深めることができ、合格すれば次年度の大阪市教員採用選考テストの1次選考(面接、筆答)が免除される。「現場経験のある方から直接指導していただけますし、他大学の学生と一緒に英語教育を学ぶことができるのは貴重な機会だと思い、申し込みをしました」。試験は、自己PR等の書類提出と面接。大阪成蹊大学の教職キャリアセンターの面接対策、友人や教授との模擬面接も役立ったと佐藤さん。「自己PRでは、特別支援教育サポーターとして、生徒たちの学習のお手伝いをしている話もしました」。特別支援教育サポーターは、教育の現場経験を積んでいきたい、という想いからボランティアとして始めたそう。そういった学習をサポートしてきた経験から、成長できたことなどを面接でアピールし、見事「大阪市教師養成講座」に合格。今後さらに、教員への道を進んでいく。


学校が好きではない生徒に寄り添えるように

理想とする教師像について聞いてみると、「元々あまり学校が好きではなかった」という。
「内気な性格もあって、小中学校のころは学校が楽しいと思っていませんでした。でも、部活動を始めて、楽しいって思える場所が見つかったと思ったんです。そして、学校にも前向きに通えるようになりました。私みたいに学校があまり好きでない生徒も少なくないと思います。そんな子どもたちに寄り添えるような、そういう生徒たちの居場所づくりをできるような教師になりたいと思っています」。
大きな成長のきっかけとなった大阪への進学。この土地での生活が心地よく、自分に合っていると感じており、大阪市で教員を視野に入れているそう。この土地で出会った仲間や経験が、きっとこれからの教師人生の糧になるだろう。今後、佐藤さんの進む道が、晴れやかであることに期待していきたい。


大学、そして高校生の後輩たちへ

最後に、佐藤さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。
「大学の4年間は、自由にやりたいことができる期間です。授業やアルバイトに追われることもあるかもしれませんが、それで終わらせてしまうのは、もったいないと思います。自分のやりたいことを大切に、積極的にチャレンジして、後悔のない4年間を過ごして欲しいです」。

※在学生の表記は2025年7月取材時のものです。