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PROFILE
- 芸術学部 造形芸術学科 グラフィックデザインコース3年生
- 桐村 真央さん
桐村真央(きりむら まひろ)さん
大阪府生まれ。大阪府立北かわち皐が丘高等学校卒業。
休日は、絵を描いたり、音楽を聴いたりして過ごす。ゆったりと、気持ちを落ち着かせてくれるような音楽が好き。
1968年から開催されている、大学生や専門学校生の感性や創造力を競うデザインコンペティション「毎日・DAS学生デザイン賞大学生の部」。第56回の今年、グラフィック部門で「部門賞(1位)」を、芸術学部 グラフィックデザインコース3年の桐村真央さんが受賞した。実は、大学入学までデザインを学んだことがなかったという。受賞の経緯を、デザイナーを志したきっかけ、芸術学部に進学した理由などと共に聞いた。
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“やりたい”に向き合い、たどり着いた芸術の道
小さな頃、ウサギやケーキ、キャラクターといった可愛いものをお絵描きしたり、積み木やブロックを組み立てたり。「あまり記憶はないんですけどね(笑)」とハニカミながら話す桐村さんの、創作の原点は、そんな幼少期にあったのかもしれない。
中学校での部活は、吹奏楽部。同時に好きなキャラクターや創作のイラストをSNSに上げていた。ただ趣味の範囲として。美術・芸術に本格的に取り組み始めたのは、高校3年生のとき。美術部に入部した。「進路について真剣に考えたときに、自分の好きなこと、やりたいことは芸術だと思ったんです」。そして、芸術系の大学・学部を目指すことを決めた。「私自身、人の役に立つ仕事がしたいと思っていました。美術・芸術の仕事を調べていたら、出てきたのがパッケージやポスターの制作。デザインの力で社会・街・人のために貢献できる。自分のやりたいことを考えたら、グラフィックデザインの道に進みたいと思いました」。
何度もオープンキャンパス訪れ大学を研究
進学先を探していたときに目に留まったのが、大阪成蹊大学の芸術学部だった。はじめは、家から近いこともあり、とりあえずオープンキャンパスに行ってみよう、という気持ちだった。実際に訪れてみると、期待だけでなく不安も大きくなったという。「展示されている在校生の作品はどれも素敵でした。面白そう、行きたいって思うのと同時に『自分にできるのか』とも。だから、何度もオープンキャンパスに行って研究のようなことをしていました」。どんな授業をするのか、どんな先生がいるのか。そういったことを自身で研究した。そして、少人数制で授業が受けられる、先生が一対一で向き合ってくれる、ここなら自分のペースでやっていけると思い、大阪成蹊大学への進学を決めた。

成長のために進んで行動
入学直後に感じていたのは、ついていけるかの不安だった。学部内には、高校からデザインについて学んできた学生もいたからだ。「はじめのころにあったのは、基礎的なデッサンや色彩についての授業です。そのとき、周りと比べて自分の経験が浅いことを感じました」。もっと頑張らないと。その想いから、毎日の授業を忘れないように日記に残すことに。「何をしたかと、次回までにやるべきことを自分なりに整理して、まとめていました」。
それ以外にも、デザインソフト(イラストレーター・フォトショップ)を独自で学び認定試験を受けたり、動画制作に興味を持てば学科長である桐原教授にメールを送り動画編集を教えてくれる先輩を紹介してもらったり、将来を見据えて2年生時にデザイン会社へインターンシップに参加したり。成長のために、自ら行動していった。「学内の展覧会『3年生展』の紹介ムービーの制作に携わらせていただいていて、動画編集の知識が役立っています。また、インターンシップで実際の仕事の現場を体験できたことは、プロの視点を学べて、スキル面も含めて大きな成長になりました」。
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部門賞(1位)を受賞して、得られた自信
桐村さんが成長を強く実感できた出来事の一つが「毎日・DAS学生デザイン賞」だ。
元々は「グラフィックデザイナーとして自身が開催する『社会問題を題材にした展覧会』を想定したポスターを制作する」という授業の課題で取り組んだもの。そのときに制作した青い作品に加え、もう1枚赤色のポスターを制作し、2枚で1つの作品として「毎日・DAS学生デザイン賞」へ応募した。
制作時、まず行ったのは、調べること。はじめにSDGsのこと、続いて2050年問題。そこには、森林減少・森林破壊の問題があった。「森林の問題を中心に、そこから樹形図のようにキーワードを広げながら書き出していきました。そして、モチーフを考えたり、強いメッセージを伝える方法を模索したり。そして、このポスターのデザインに落とし込みました」。そうして完成させたのが、この「Deforestation」という作品。実際に木の板を削る木版画のギミックを用いることで森林破壊とリンクさせた。 青い作品は、よく見ると木の影が人の首のシルエットになっている。「自然を壊すことは、人間自身を傷つけることでもある」というメッセージが込められている。赤い作品は、森林破壊によって住処や食料を失った鹿の姿が、燃やされ切り落とされた後の切り株とともに佇んでいる様子を表現。視覚的に森林破壊の残酷さを伝えられるように工夫をした。
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▲実際に木の板を削る木版画のギミック
部門賞(1位)を知ったのは、授業後のことだったという。「授業などの連絡が来ていないか、メールを確認したら部門賞の知らせが届いていて。思いがけず目にしたので、そのときは気持ちが追いつかなかったです。その後、友人とインドカレーを食べに行って、『おめでとう』と言われてようやく実感しました」。ずっと自信を持てずに不安でいた桐村さん。グラフィックデザインで認められた、自分の想いを伝えられた、とようやく少し自信が持てたようだ。
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▲制作過程
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▲毎日・DAS学生デザイン賞大学生の部 グラフィック部門 部門賞(1位)受賞作品「Deforestation」
さらに自信をつけてデザイナーへ
「正直、今も不安はあります」。本当にこれで良いのか、もっと良くなるのでは、と考えてしまうのだと話す。その不安は多くのクリエイターが抱えているものだろう。ただ、桐村さんは確かな成長も実感している。プレゼンする機会も多く、言葉で作品の魅力を伝えられるようになった。また、先輩や同学年の作品など、芸術に触れる機会が増えて感性も磨かれているようだ。
成長を続ける桐村さんに卒業後の目標を聞くと、やはりデザイナーだという。「ブランド、ポスター、いろいろなものをデザインしていきたいです。また、自信を持ってデザインしたものをプレゼンできるようになりたいですね」。確かな努力を続け、実を結び始めている桐村さん。さらにデザイナーとして花開くことを期待していきたい。
大学、そして高校生の後輩たちへ
最後に、桐村さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。
「興味のあることは、とことん探究することが大切だと思います。気になることは片っ端から探究したり、頭に思いつくことはメモをしたり。それがデザインにもつながると思っています。興味があるなら、経験がなくても挑戦するべきです。私も経験がなくてもデザインができるようなってきています。デザインのソフトを触ったことがなくても、授業で操作していくうちに慣れてきますし、先生も真摯にアドバイスをくれます。ぜひ、興味にしたがって、どんどん探究していってください。」

※在学生の表記は2025年7月取材時のものです。
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“やりたい”に向き合い、たどり着いた芸術の道
小さな頃、ウサギやケーキ、キャラクターといった可愛いものをお絵描きしたり、積み木やブロックを組み立てたり。「あまり記憶はないんですけどね(笑)」とハニカミながら話す桐村さんの、創作の原点は、そんな幼少期にあったのかもしれない。
中学校での部活は、吹奏楽部。同時に好きなキャラクターや創作のイラストをSNSに上げていた。ただ趣味の範囲として。美術・芸術に本格的に取り組み始めたのは、高校3年生のとき。美術部に入部した。「進路について真剣に考えたときに、自分の好きなこと、やりたいことは芸術だと思ったんです」。そして、芸術系の大学・学部を目指すことを決めた。「私自身、人の役に立つ仕事がしたいと思っていました。美術・芸術の仕事を調べていたら、出てきたのがパッケージやポスターの制作。デザインの力で社会・街・人のために貢献できる。自分のやりたいことを考えたら、グラフィックデザインの道に進みたいと思いました」。
何度もオープンキャンパス訪れ大学を研究
進学先を探していたときに目に留まったのが、大阪成蹊大学の芸術学部だった。はじめは、家から近いこともあり、とりあえずオープンキャンパスに行ってみよう、という気持ちだった。実際に訪れてみると、期待だけでなく不安も大きくなったという。「展示されている在校生の作品はどれも素敵でした。面白そう、行きたいって思うのと同時に『自分にできるのか』とも。だから、何度もオープンキャンパスに行って研究のようなことをしていました」。どんな授業をするのか、どんな先生がいるのか。そういったことを自身で研究した。そして、少人数制で授業が受けられる、先生が一対一で向き合ってくれる、ここなら自分のペースでやっていけると思い、大阪成蹊大学への進学を決めた。

成長のために進んで行動
入学直後に感じていたのは、ついていけるかの不安だった。学部内には、高校からデザインについて学んできた学生もいたからだ。「はじめのころにあったのは、基礎的なデッサンや色彩についての授業です。そのとき、周りと比べて自分の経験が浅いことを感じました」。もっと頑張らないと。その想いから、毎日の授業を忘れないように日記に残すことに。「何をしたかと、次回までにやるべきことを自分なりに整理して、まとめていました」。
それ以外にも、デザインソフト(イラストレーター・フォトショップ)を独自で学び認定試験を受けたり、動画制作に興味を持てば学科長である桐原教授にメールを送り動画編集を教えてくれる先輩を紹介してもらったり、将来を見据えて2年生時にデザイン会社へインターンシップに参加したり。成長のために、自ら行動していった。「学内の展覧会『3年生展』の紹介ムービーの制作に携わらせていただいていて、動画編集の知識が役立っています。また、インターンシップで実際の仕事の現場を体験できたことは、プロの視点を学べて、スキル面も含めて大きな成長になりました」。
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部門賞(1位)を受賞して、得られた自信
桐村さんが成長を強く実感できた出来事の一つが「毎日・DAS学生デザイン賞」だ。
元々は「グラフィックデザイナーとして自身が開催する『社会問題を題材にした展覧会』を想定したポスターを制作する」という授業の課題で取り組んだもの。そのときに制作した青い作品に加え、もう1枚赤色のポスターを制作し、2枚で1つの作品として「毎日・DAS学生デザイン賞」へ応募した。
制作時、まず行ったのは、調べること。はじめにSDGsのこと、続いて2050年問題。そこには、森林減少・森林破壊の問題があった。「森林の問題を中心に、そこから樹形図のようにキーワードを広げながら書き出していきました。そして、モチーフを考えたり、強いメッセージを伝える方法を模索したり。そして、このポスターのデザインに落とし込みました」。そうして完成させたのが、この「Deforestation」という作品。実際に木の板を削る木版画のギミックを用いることで森林破壊とリンクさせた。 青い作品は、よく見ると木の影が人の首のシルエットになっている。「自然を壊すことは、人間自身を傷つけることでもある」というメッセージが込められている。赤い作品は、森林破壊によって住処や食料を失った鹿の姿が、燃やされ切り落とされた後の切り株とともに佇んでいる様子を表現。視覚的に森林破壊の残酷さを伝えられるように工夫をした。
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▲実際に木の板を削る木版画のギミック
部門賞(1位)を知ったのは、授業後のことだったという。「授業などの連絡が来ていないか、メールを確認したら部門賞の知らせが届いていて。思いがけず目にしたので、そのときは気持ちが追いつかなかったです。その後、友人とインドカレーを食べに行って、『おめでとう』と言われてようやく実感しました」。ずっと自信を持てずに不安でいた桐村さん。グラフィックデザインで認められた、自分の想いを伝えられた、とようやく少し自信が持てたようだ。
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▲制作過程
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▲毎日・DAS学生デザイン賞大学生の部 グラフィック部門 部門賞(1位)受賞作品「Deforestation」
さらに自信をつけてデザイナーへ
「正直、今も不安はあります」。本当にこれで良いのか、もっと良くなるのでは、と考えてしまうのだと話す。その不安は多くのクリエイターが抱えているものだろう。ただ、桐村さんは確かな成長も実感している。プレゼンする機会も多く、言葉で作品の魅力を伝えられるようになった。また、先輩や同学年の作品など、芸術に触れる機会が増えて感性も磨かれているようだ。
成長を続ける桐村さんに卒業後の目標を聞くと、やはりデザイナーだという。「ブランド、ポスター、いろいろなものをデザインしていきたいです。また、自信を持ってデザインしたものをプレゼンできるようになりたいですね」。確かな努力を続け、実を結び始めている桐村さん。さらにデザイナーとして花開くことを期待していきたい。
大学、そして高校生の後輩たちへ
最後に、桐村さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。
「興味のあることは、とことん探究することが大切だと思います。気になることは片っ端から探究したり、頭に思いつくことはメモをしたり。それがデザインにもつながると思っています。興味があるなら、経験がなくても挑戦するべきです。私も経験がなくてもデザインができるようなってきています。デザインのソフトを触ったことがなくても、授業で操作していくうちに慣れてきますし、先生も真摯にアドバイスをくれます。ぜひ、興味にしたがって、どんどん探究していってください。」

※在学生の表記は2025年7月取材時のものです。