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狭き⾨を突破!
⾼校保健体育の教員採⽤試験に現役合格

2024.11.14

PROFILE

教育学部 教育学科 中等教育専攻 保健体育教育コース 4年生
谷口 哲也さん

⾕⼝哲也 さん
京都府⽣まれ。京都府⽴綾部⾼等学校卒業。
中⾼校⽣時代から続けている陸上競技では400メートルの種⽬で、京都府⼤会6位⼊賞を果たす実⼒者。
⼤学4年間は⼀⼈暮らしを経験したが、競技者としての⾷事管理に苦労したそう。
「4⽉からも⼀⼈暮らし継続なので、⼤学での経験を⽣かせそうです」。
趣味はスノーボードと旅⾏。「卒業旅⾏では韓国と沖縄に⾏く予定です」。

「先⽣になりたい」

その夢に⼤きく⽴ちはだかるのが教員採⽤試験。とりわけ、他教科に⽐べて採⽤枠が少ない保健体育の先⽣は倍率が全国平均で10倍を超えてくる。ライバルは学⽣だけで なく、すでに教育現場で活躍する講師たちも含まれるから超難関だ。⼤阪成蹊⼤学 教育学部 教育学科 中等教育専攻 保険体育教育コース4年⽣、⾕⼝哲也さんは、そんな 狭き⾨を突破し、現役で滋賀県の⾼校の保健体育の教員採⽤試験に合格した。中学と⾼校そして本学でも陸上競技⽣活にどっぷりと浸かり、ボランティアや学⽣会へも参加するなど充実の⼤学⽣活を過ごしながら、しっかり教員採⽤試験のゴールテープを切った⾕⼝さん。「⾃分がどんな先⽣になりたいのか具体的に思い描き、ぶれることなく確実に進むことを⼤切に過ごしました」と⼤学4年間を振り返る。

陸上競技が引き寄せた、将来の夢

⾕⼝さんには、「こんな教師になりたい」と⼼に描く教師像がある。それは⾕⼝さんの中学校時代の部活の顧問であった保健体育の先⽣の姿そのものだ。

「中学⽣のころ、陸上部で100メートル短距離を専攻していましたが、なかなか記録が伸びずに悩んでいました。そんな時、顧問の先⽣から400メートルに転向してみないか、と声を掛けてもらったのです」。

400メートルは短距離特有の瞬発⼒とスピード、そして同時に持久⼒も求められ、ペース配分など戦略的な⾯も重要視される種⽬だ。⾕⼝さんは、忍耐⼒や持久⼒といった ⾃分でも気がついていなかった強みを、先⽣のアドバイスによって発⾒することになる。

「実際に400メートルに転向したら、想像以上の結果が出せるようになりました。記録が伸びてくると、陸上競技の魅⼒をどんどん発⾒できて、⾛ることがさらに好きになりました」。

新しい可能性を⾒つけられたこと、そして結果に結びつけられたことが⼤きな⾃信となり、今の⾃分を⽀えていると⾕⼝さんは話す。そして、⾃⾝の新たな側⾯に気づかせてくれた顧問の先⽣の姿を追いかけ、⼦どもたちの進路に直接関われる「⾼校の教師」をめざすことを決める

「恩師のように、⼦どもの可能性を⾒出し、広げてあげられる先⽣、そして『出会えてよかった』と思ってもらえるような先⽣になりたいです」。


▲大学では陸上部の主将も務めた

選択肢と視野を広げる⼤学へ

「⾼校の保健体育の教師になる」と、強い決意を持って⼤学進学を決めた⾕⼝さんが、⼤阪成蹊⼤学教育学部教育学科中等教育専攻保健体育教育コースを選んだのは、⾃分の選んだカリキュラム次第で取得できる免許・資格の幅を広げることができるからだった。

⾕⼝さんが進学した「保健体育教育コース」では、⼀定の条件を満たすことで、主たる免許である「中学校教諭⼀種免許状」「⾼等学校教諭⼀種免許状」の他に「特別⽀援学校教諭⼀種免許状」、「⼩学校教諭⼀種免許状」、「幼稚園教諭⼀種免許状」、「学校図書館司書教諭資格」が取得できる。さらには公務員として社会福祉の仕事に携われる「社会福祉主事」やスポーツ医学の分野で活かせる「スポーツ医学検 定1級・2級」などを得ることも可能だ。

「卒業時に『特別⽀援学校教諭⼀種免許状』も取得予定です。教員になったときに必要な⼒になると思ったので、取得に向けたカリキュラムを履修しました」。

「特別⽀援学校教諭⼀種免許状」とは、特別⽀援教育を担当する教員が取得するため の免許状で、すべての障がいに共通する基本的な知識や障がいのある⼦どもたちへの⼼理的・⽣理的な理解、教育課程とその指導法の基礎を⾝につけることを⽬的としている。⾕⼝さんは、学校現場では⽀援を必要とする⼦どもたちが多くいると聞いていたこと、そして資格取得は結果で、それを得るための学びの過程に価値があると考えた。

「障がいの有無にかかわらず、⼦ども⼀⼈ひとりの個性に合わせて必要なニーズを⾒極めるとき、そして⼦どもたちの様⼦を観察し、その⼼理や⾏動を理解しようとするときに、学んだことが役⽴つのではないかと思っています」。

そう話す真剣な眼差しからは、これから出会う⼦どもたちの可能性を少しも⾒過ごさないために視野を広げたい、そんな強い思いが伝わってきた。

ゼミでの活動で実践⼒を⾝につける

これまでの⼤学⽣活で⼀番楽しかったのは、ゼミでの活動だったと⾕⼝さんは振り返る。特にゼミ⽣みんなで参加したボランティア活動は、⾃分の視野を広げるきっかけになったそうだ。

「私が在籍する⾅井達⽮准教授のゼミでは、⼤阪府豊中市と提携して⼩学⽣を対象にしたマルチスポーツ体験教室を年に8回ほど実施しています。その運動指導員として参加しました」。

この教室では、バレーボールやバスケットボールといった競技スポーツの他に、キンボール(巨⼤で軽いボールを床に落とさないようにする競技)のようなニュースポーツと呼ばれる競技など、多様な種⽬を体験する場を提供している。学⽣たちは、専⾨分野を⽣かしながら、からだを動かす楽しさを伝えようと各種競技の指導にあたっている。

「できるだけたくさんの⼦どもと接し、みんなが楽しめる雰囲気作りを⼤切にしました。この活動で通じて、運動を⽀援するための⼼構えや声かけの仕⽅など、⼦どもたちとの関わり⽅を学びました」。

これらゼミのボランティア活動では、⾃⾝の変化にも気がついたと⾕⼝さん。「学校の先⽣になりたいとは思っていたものの、⼈前に⽴つことは得意ではありませんでした。でも、前に⽴って⼦どもたちに話しかける、伝えるという経験を繰り返すことで、⼈の前で話すことに苦⼿意識がなくなりました」。

また、先輩後輩の仲を深めるきっかけともなり、チームで活動することの⾯⽩さや、 協⼒し合うことの⼤切さ、そして協調性を養うこともできたと続ける。

「それから卒業して現場で活躍しているゼミの先輩からは、合格に向けたアドバイス をもらいました。来年は先輩の後を引き継いで、後輩の役に⽴てたらと思っています」。


▲ゼミでは後輩への指導なども積極的に行っている

⼤学⽣活のどんな瞬間も未来の⾃分の「⼒」になる

⼤学内の⾏事にも積極的に参加した⾕⼝さんは、学園祭はもちろんのこと、4年⽣となった今年は学⽣会の役員にも⽴候補して学⽣会主催のイベント運営に携わった。

「本学にはたくさんのサークルがありますが、それらサークルの⽇々の成果を発表する機会として、七⼣やクリスマスの時期にパーティーを主催しています。学⽣⽣活が より楽しい場になるよう、いろいろな企画に取り組んでいます」。

学校外では、中学、⾼校、⼤学と続けてきた陸上競技者としての経験を元に、⼤阪市内の中学校の陸上部で部活指導員のアルバイトもしている。⼤学で学んだ技術的なトレーニング⽅法を教えるなど、指導者としての実践を重ねている最中だ。

「4⽉から⾼校の教員になりますが、これまで培ったことを⽣かして陸上部の顧問として、⽣徒たちと陸上競技を楽しめたらいいなと思っています」。

どんな経験でも⾃分がめざす姿に近づくための⼒になる、未来の⾃分の糧になる、この気持ちを常に抱きながらできる限りのことに取り組んできた⾕⼝さんだ。


▲トロワジムでのトレーニングの様子

綿密な学習計画が「教員採⽤試験」突破の鍵

充実した学⽣⽣活を送りながら、⾕⼝さんは教員採⽤試験へ向けてどのような対策を 取ったのだろうか。

「⼀般教養や専⾨教養といった筆記試験を通過しないと⾯接試験には到達しません。 まずは勉強をどのように進めるのか考え、計画表を作りました。実際に勉強を始めた のは3年⽣の10⽉ごろからです」。

⾕⼝さんの合格へのスキームは、「試験⽇からの逆算⽅式」だ。試験⽇を最終⽬標に設定し、その⽇までにどのような勉強を完了すべきかを逆算し、そのための段階的な⽬標をいくつも設定する。

細かな⽬標を打ち⽴て、⼀つずつクリアしていく。その積み重ねで合格にたどり着いたと考えています。計画通りにやれば間違いないと⾃分を信じ、教職キャリアセンターの⾃習スペースやゼミ室で朝から⼣⽅まで勉強をしていました」と⾕⼝さん。

どうしても苦しい時は、教員採⽤試験合格をめざす友⼈と⼀緒にご飯に⾏ったり、ゼミ室で他愛もない話をして過ごすなどでストレスを発散したそう。

「教職キャリアセンターの先⽣やゼミの⾅井先⽣には出願サポートや⾯接の練習などで⾃分にたくさん時間をかけてもらいました」。

親⾝に話を聞いてくれ、ときには厳しい指導も交えながら⼀緒に解決策を考えてくれる、そんな寄り添った⼿厚いサポートが⼼強かったと⾕⼝さんは振り返る。

「⾃分⼀⼈で合格を勝ち取ることができたわけではありません。友⼈や先⽣のサポートがあってこそ、教員採⽤試験に合格できたのだと思っています」。

そして、教員採⽤試験はゴールではない。卒業までの残りわずかな時間、さらに未来の⾃分のためにスタートを切る⾕⼝さん。⼤阪成蹊⼤学が積極的に推進している⾼⼤連携の取り組みを利⽤し、連携する⾼校の教師インターンシップに参加する。そして4⽉から始まる教員⽣活へ向けた新たな⼀歩を踏み出そうとしている。


▲高大連携授業での様子

⼤学、そして⾼校⽣の後輩たちへ

最後に⾕⼝さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。

「私は中学時代の恩師のような先⽣になりたいという⼀⼼で4年間過ごしました。皆さんも憧れの先⽣など、誰かの影響を受けて教員をめざし、⼤学へ進学するのだと思います。教員採⽤試験の勉強などで苦しくなったときは、その憧れの先⽣の姿を思い出して、気持ちを持ち直してください。そして計画的に勉強を進めてほしいと思います。⽬標を細かに定めて⼀つずつクリアしていけば、夢は叶うはずです」。

 

※在学生の表記は2024年10月取材時のものです。